遺言書の作成、相続手続、入管手続、ビザ申請、帰化申請、車庫証明・自動車登録、会社・組合設立手続のことなら茨城県水戸市のカレッジ行政書士事務所
遺言書、遺産分割等相続に関する手続業務
当事務所では、クライアントの依頼に基づいて遺言書の作成支援を行います。
また、遺産相続の手続き、及び、それに向けた書面の作成を行います。
1.遺言書作成業務
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(1)遺言総論
例1
5人兄弟のAさん(男性)はBさん(女性)と二人きりで仲良く生活していました。AさんBさんの間には子供がいなく、またAさんBさんは法律上の夫婦ではなく、内縁関係でした。Aさんにとっての法律上の親族は、実の兄弟及びその子供達(甥、姪)でした。
Aさんは突然職場で倒れ、一命は取り留めたものの後遺障害が残ってしまいました。その後、Aさんは新たな病に侵され、亡くなられました。AさんにはBさんと暮らしていたAさんBさん共有名義の土地、建物がありました。Aさん亡きあと、Bさんは共有建物でひっそり暮らしていましたが、Aさん兄弟が突然Aさんの共有持ち分の相続分を請求してきました。Bさんにはまさに寝耳に水でした。Bさんにはこれといった財産が無く、仕方なく土地、建物を売り、兄弟に金銭を支払ったあと、Bさんは残りのお金で施設に入りました。
上記の例を読んで、みなさんはどの様に感じるでしょうか。Aさん亡き後、突然相続分を主張してきたAさん兄弟は、いくら法律上認められた相続人であってもAさんを献身的に支えてきたBさんのことを考慮しない笑う相続人のように映るかもしれません。
では、この例でBさんがAさん亡き後に共有の建物で暮らすにはどの様な方法があったのでしょうか。答えはAさんの遺言書があればBさんは救われました。
正に遺言は、残された大切な人を守る権利書といえるでしょう。従来、日本では遺言があまり活用されていませんでしたが、人々の権利意識の高まりに比例するかの如く、遺言がなされる件数は増えています。遺言には公正証書遺言以外は全て、検認という家庭裁判所の手続きが必要ですが、この検認件数は1980年半ばから急激に増えています。
また、検認不要の公正証書遺言も、1966年には7,767件に過ぎませんでしたが、現在では70,000件を超えています。
このように人々に権利意識が高まり、遺言件数が増えてはいますが、遺言に関する紛争も増えています。せっかく大切な残された人を守るために残した遺言が仇となり、かえって争いのきっかけになったのでは本末転倒といえるでしょう。そのような問題を未然に防ぐためには、遺言書の作成は専門家に相談するのがよい方法だと思います。当事務所では、遺言書の依頼等、クライアントの大切な人、財産を全力で守ることを使命としております。
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(2)遺言の要件
遺言を為すには一定の要件を充たさなければなりません。1つめの要件として、遺言者は遺言をするための能力を備えていなければ遺言を為し得ません(民法963条)。15歳に達していない未成年者は遺言を為し得ません(同法961条)。また、成年被後見人は原則として遺言能力はありませんが、本心を一時回復し、かつ、2人以上の医師の立会いのもとならば遺言を為し得ます(同法973条1項)。被保佐人、被補助人は何らの制限はなく遺言を為し得ます。
また、遺言の趣旨は人の最終意思の尊重ですから、代理は認められません。
2つめの要件として、遺言の内容は法で定められた事項でなければなりません(遺言事項)。遺言事項として、@相続に関する事項(例:相続人の廃除、廃除の取消し、相続分の指定、遺産分割方法の指定など)A遺産の処分に関する事項(例:遺贈、財団設立のための寄付行為など)B身分上の行為事項(例:認知、未成年後見人・未成年後見監督人の指定など)があります。
※遺言事項以外でも、法廷除外事項としては認められます。
3つめの要件として、遺言は法律の定める一定の方式に従ってなされなければなりません(同法960条)。なぜなら、遺言は遺言者の最終意思を尊重しつつ、偽造、変動を防止しなければならないからです。
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(3)遺言の種類
遺言には幾つかの種類があります。それぞれの遺言にはメリット、デメリットがあります。どの様な遺言がよいのか、よく調べてから(できれば専門家に尋ねる)遺言書を作成してください。
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(a)普通方式遺言
普通方式遺言とは、遺言者が通常の場合に作成する遺言を言います。普通遺言はさらに、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言に分けられます。
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(@)自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の全文、日付および氏名を自書し、これに押印することによって成立する遺言を言います(同法968条1項)あくまでも自書することが要件となっていますので、タイプライター・ワープロ等による作成は無効です。また、他人による代筆も不可です。ただし、他人が手を補助的に添えて書かれた自筆証書遺言は有効とされています(最判昭62.10.8)。
日付は、正しく年月日が特定されていなければなりません。ただ、年月日が特定できればよいので、「満○○歳の誕生日」という記載は有効です。氏名は、遺言者本人が特定できればよいので、ペンネームや通称名でも可能です。押印は、実印でも認め印でも指印でも可能です。
自筆証書遺言のメリットは、簡単に作成できる、費用がかからない、証人・立会人がいらないため、秘密性が保てるという点にあります。デメリットは、保管が難しい、形式面・内容面の効力が問題になる場合がある、検認が必要という点があります。
(A)公正証書遺言
公正証書遺言とは、遺言者が口述した遺言内容を、公用人が筆記する方式の遺言を言います(同法969条)。公証人は、証書の原本と正本を作成し、正本は遺言者が持ち、原本は公証人が保管します。公正証書遺言の要件は、以下のとおりです。
@証人2人以上の立会いA遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授することB公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ、または閲覧させることC遺言者と証人が、筆記正確であると承認したうえで各自署名押印すること(ただし、遺言者が署名できないときは公証人がその事由を付記して署名に代えることができる)D公証人が@からCまでの要件を充たしていることを付記して署名押印すること。公正証書遺言のメリットは、公証人の面前で作成するので、遺言の形式・内容面、遺言能力の有無についての問題が少ない。家庭裁判所の検認が不要、という点があります。
デメリットは、公証人、証人に内容が知られてしまうこと、手続きが面倒、作成費用が高額という点があります。
(B)秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言者が自己、または第三者の作成した遺言書に署名押印し、封筒に入れて封をするものをいいます(同法970条)。秘密証書遺言の要件は、以下のとおりです。
@遺言者がその証書に署名押印をする(※署名は自書しなければなりませんが、署名以外はタイプライター・ワープロでもかまいません。また、他人による代筆も可能です。この点が前述の自筆証書遺言と異なります)A遺言者がその証書を封書に入れ、証書に用いた印章でこれに封印する。B遺言者がその封書を公証人1人、証人2人以上の面前に提出し、自分の遺言書であること、書いた者の氏名と住所を申述するC公証人がその証書を提出した日付と遺言者の申述を封書に記載した後、遺言者・公証人・証人が封書に署名・押印する。
秘密証書遺言のメリットは、秘密性が保てる、費用が公正証書遺言より安価である、公証人の関与により偽造・変造のおそれが少ないという点があります。デメリットは、遺言書の保管場所の確保が困難、遺言の内容面の不明確性が残る、遺言の検認が必要という点があります。
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(b)特別方式遺言
特別方式遺言とは、特別な事情により普通方式遺言ができない場合に為す形式の遺言をいいます。
特別方式遺言は危急時遺言と隔絶地遺言に分かれ、危急時遺言は一般危急時遺言と船舶遭難危急時遺言に分かれ、隔絶地遺言は伝染病隔絶地遺言と在船者遺言に分かれます。
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(4)まとめ
2.相続手続業務
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(1)相続総論
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(a)相続の開始
相続は人の死亡によって開始します(同法882条)。このことは、相続は人の死亡以外では開始されないことを意味します。そして人の死亡により、被相続人(死亡して相続される人)に属していた財産は、原則として、相続開始時に存在している一定の親族関係にある者(相続人)に帰属することになります。相続人が被相続人の死亡を知ることは相続開始に影響しません。
ただし例外として、胎児の出生擬制(同法886条)、代襲相続(同法887条2項、889条2項)があります。また、医学的に死亡したか否か不明でも、失踪宣告により死亡が擬制され、相続が開始されます。
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(b)相続人
相続業務の依頼を受けた場合、当事務所ではまず相続人の確定調査から始めます。相続人が比較的少人数の場合ならば、あまり問題となりませんが、中には数十人の相続人がいる場合があります。このような場合、法定相続人に遺漏があると、後の分割業務に影響します。よって、相続人の確定は重要になってきます。
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(@)配偶者
配偶者は常に相続人となります(同法890条)。婚姻関係にない内縁関係にある者は相続人にはなりません。しかし、個別的に一定の保護が図られています(遺族補償受給権、被相続人の賃借権を相続した相続人の賃借権の援用など)。
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(A)子
子は、実子・養子、嫡出子・認知ある非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間で生まれた子)を問わず第1順位の相続人となります(同法887条1項)。ただし、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1となります(同法900条4号ただし書)。また、特別養子は実親のみの相続権を有しますが、普通養子には、実親・養親双方の相続権があります。
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(B)代襲者
被相続人が死亡したときに、既に被相続人の子が死亡(被相続人と子が同時に死亡した場合も含む)、相続欠格(一定の事由により相続権を失うこと)、または廃除に該当する場合、被相続人の子の子、つまり被相続人にとっての孫が相続権を有します(同法887条2項)。これを代襲相続といいます。あくまでも子が死亡、相続欠格、廃除に該当する場合であり、子が相続を放棄した場合は代襲相続の要件となりません。そして、被相続人が死亡したとき、その子のみならず孫も死亡、相続欠格、廃除に該当し、かつ、被相続人の直系卑属が存在していた場合はその直系卑属が相続権を有します(同法887条3項)。これを再代襲といいます。なお、条文上は再代襲までの記載ですが、再々代襲も再再々代襲も認められます(法務省公式見解)。
兄弟姉妹が相続人であったが、死亡、相続欠格、廃除に該当する場合は兄弟姉妹の子、つまり甥、姪が相続権を有します(同法889条2項)。なお、兄弟姉妹には代襲相続のみで、再代襲以降は認められません。
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(C)直系尊属
相続開始のとき、子や代襲者が存在しない場合は、親等の近い直系尊属が第2順位の相続人になります(同法889条1項1号)。
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(D)兄弟姉妹
兄弟姉妹は、被相続人の子、代襲者または直系尊属がともにいない場合に第3順位の相続人となります。父親または母親の一方のみを同じとする兄弟姉妹(半血)の相続分は、父親、母親双方を同じとする兄弟姉妹の相続分の2分の1となります(同法900条4項ただし書後段)。
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(c)推定相続人の廃除・欠格
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(@)廃除
被相続人が、遺留分を有する推定相続人(相続開始後、相続人になる予定の者)に相続させることを望まない場合は、家庭裁判所へ請求することにより、または遺言で家庭裁判所の審判を経て推定相続人を廃除することができます(同法892条)。
兄弟姉妹や遺留分放棄者は遺留分がなく、遺言で相続分を無くすことができるため、排除の客体にはなりません。
廃除の要件として、@推定相続人の被相続人に対する虐待A推定相続人の被相続人に対する侮辱B推定相続人の著しい非行で、これらに該当するか否かを家庭裁判所が判断します。廃除の効力として、非排除者は被相続人との関係で相対的に相続権を失います。あくまでも相対的なので、被相続人ごとに廃除を検討する事になります。
また、排除者は欠格者とことなり、受遺能力は奪われないので、排除者が遺言で財産を受け取ることは可能です。推定相続人はいつでも廃除の取り消しを家庭裁判所に請求できます(同法894条1項)。
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(A)相続欠格
推定相続人に相続させることが一般人の法感情に反する場合(生命侵害に関する欠格事由、遺言に対する違法な介入による欠格事由)、推計相続人は相続権を失います(同法891条)。
欠格事由に該当する推定相続人は受遺能力も失いますので、遺贈は受けられません。相続欠格も被相続人ごとに相対的に判断します。
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(d)未成年者、意思無能力者、行方不明者が相続人の場合
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(@)未成年者
相続人に未成年者が含まれている場合、未成年者は単独で遺産分割協議等に参加することはできず、法定代理人(通常は未成年者の父母)の同意を得て未成年者が協議等に参加するか、もしくは法定代理人が未成年者の代理人として協議等に参加することになる(同法5条、824条)。
法定代理人も相続人である場合は、未成年者の利益と法定代理人の利益が相反するので、特別代理人の請求を家庭裁判所にすることになる(同法826条)。
未成年後見人と未成年者の利益が相反する場合は、後見監督人がいれば後見監督人が代理人として協議等に参加し、後見監督人がいなければ特別代理人を選任することになる。
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(A)意思無能力者
相続人の中に意思無能力者がいた場合、先ずは成年後見人選任の申し立てを家庭裁判所にすることになります(同法7条、8条)。そして、選任された成年後見人は、成年被後見人の代理人として、遺産分割に加わることになります。
成年後見人も相続人で場合は、成年被後見人の利益と対立するので、成年後見監督人が選任されていれば成年後見監督人が成年被後見人の代理人となり(同法860条ただし書)、成年後見監督人が選任されていなければ、特別代理人を選任して、その者が遺産分割協議等に加わることになります(同法860条本文)。
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(B)行方不明者
相続人のなかに行方不明者がいる場合、不在者財産の財産管理ないし失踪宣告が必要になります。
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(e)相続の単純承認・放棄・限定承認
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(@)単純承認
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりません(同法915条1項)。
単純承認とは、相続人が、被相続人の権利義務を全面的に承継することを内容として相続を承認するころをいいます。
単純承認には、相続人が積極的に承認の意思表示をする場合と、一定の事由に該当することにより承認とみなされる法定単純承認(同法921条)があります。
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(A)放棄
相続人は相続を放棄することにより、初めから相続人でなかったことになります(同法939条)。939条は遺産分割(同法909条)と異なり、第三者保護規定がないので、放棄をした相続人の意思は徹底されます。
放棄は相続財産のうち、積極財産(+財産)よりも消極財産(-財産)の方が多い場合に為されるのが通常ですが、場合によっては、特定の共同相続人に積極財産を集中させないなどの理由により、消極財産よりも積極財産の方が上回っていても為されることがあります。
放棄は相続開始を知った時から3ヶ月以内に(同法915条)、家庭裁判所に申述しなければなりません(同法938条)。この3ヶ月間は一定の理由により伸ばすことができます(同法915条ただし書)。915条の「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは原則として相続人が被相続人の死亡の事実および自己が相続人であることを知った時であると解されていますが(大決大15.8.3)、最高裁判例により一定の例外が認められております(最判昭59.4.27)。
実務では、相続放棄の手段によらず、遺産分割や「相続分不存在証明書」を提出して、放棄と事実上同じ効果を得る場合がありますが、放棄と異なり、被相続人の債務がある場合、その負担も負うことになるので注意が必要です。
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(B)限定承認
限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内で被相続人の債務および遺贈の弁済を負うとして為す承認をいいます(同法922条)。相続人にとっては、相続財産のうち積極財産と消極財産のどちらの額が多いか解らないとき有意義な制度です。
限定承認は、熟慮期間内にに相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、申述をしなければなりません(同法924条)。また、財産目録は正確に記載しなければならず、故意に記載漏れをした場合は単純承認とみなされます(同法921条3号)。
共同で相続をした場合で限定承認をする場合は、共同相続人全員で限定承認をしなければなりません(同法923条)。限定承認が認められると、相続人は全ての債務は相続するが、相続された積極財産の範囲内で弁済の責任が生じます。この辺は少し解りづらいかもしれません。すなわち、相続人に対して、被相続人の債権者や受遺者(遺贈をうける者)は全ての額を請求できますが、強制執行はあくまでも積極財産の範囲内でしか認められません。
また、相続人が任意に債務全額を弁財したとしても、あくまでも債務自体は存在するので、非債弁済(債務が無いにもかかわらず為した弁済)にはなりません。限定承認が為されると、相続財産の清算が始まります(同法927条以下)。限定承認は、共同相続人全員で為すこと、相続財産管理人が相続人から選ばれることなどの制約があり、実務ではあまり使われておりません。
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(f)相続人の不存在
相続人の不存在とは、「相続人のあることが明らかでないこと」をいい、具体的には、戸籍の記載上相続人が見当たらない場合や、相続人全員が相続を放棄した場合などをいいます(ただし、実務では相続人が存在しないことが明らかな場合でも相続人の不存在として手続きを行います)。相続人が不存在の場合、相続財産を法人化し(同法951条)、家庭裁判所より相続財産管理人を選任することになる(同法952条1項)。相続人の不存在の手続きは以下のとおりです。
相続人の不存在が確定された場合、相続財産の残余は原則として国庫に帰属するが(959条)、特別縁故者がいた場合は例外として特別縁故者が一定の手続きを経れば残余財産を取得することになる。
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(2)相続分
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(a)指定相続分
指定相続分とは、被相続人が遺言により、法定相続分とは異なる割合を指定し、または第三者に指定を委託することをいいます(同法902条1項)。例えば、配偶者の相続分を法定相続分の2分の1から5分の3にかえたりする場合をいいます。
この相続分の指定は、必ず遺言で為さなければなりません。また、遺留分の規定に反する指定もできません。ただし遺留分に反する指定であったとしても当然に無効とはならず、遺留分減殺の対象となるにすぎません(最判昭37.5.29)。
ただ、この相続分の指定は、あくまでも割合に指定ですから、相続開始後、相続人間の協議が必要となります。相続分の指定は法定相続とは異なる割合ですので、相続人間で争いが生じるおそれはあります。そこで当事務所では、遺言のアドバイスとして、相続分の指定ではなく具体的な分割を遺言で指定する遺産分割方法の指定(同法908条)を勧めています。
また、この相続分の指定は相続債務の債権者には対抗できないとされています。したがって、相続人は債権者の請求に対して、自分の相続債務に対する割合を主張することはできません。
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(b)法定相続分
遺言による相続分の指定がない場合、各相続人の相続分は民法900条、901条により決定され、以下の図のようになります。
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配偶者の法定相続分 |
他の法定相続分 |
配偶者と子 |
2分の1 |
2分の1 |
配偶者と親 |
3分の1 |
3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 |
4分の3 |
4分の3 |
子には、実後のみならず養子が含まれます。代襲相続人の中には養子縁組に出生した子は含まれますが、養子縁組前の養子の子、つまり養子の連れ後は含まれません。
また、兄弟姉妹が相続人であり、その中に異父異母兄弟がいた場合、異父異母兄弟の相続分は父母を同じくする兄弟姉妹の2分の1です(同法900条4項ただし書)。なお、認知を受けていない被嫡出児は相続人となりません。この場合、被嫡出児が相続人となるためには死後認知(同法781条2項、787条)を受けなければなりません。
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(c)特別受益
特別受益とは、特定の相続人に対して遺贈をし、または、被相続人の生前中に特定の相続人に対して、婚姻、養子縁組等のために一定の資本を贈与することを言います。
特別受益を受ける人(特別受益者)が他の相続人よりも一定の利得をしていると解釈される場合には、相続人間の公平を図るために特別受益者の本来の相続分から特別受益分が控除されます(903条1項)。
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(d)寄与分
寄与分とは、被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をした共同相続人があるとき、その者の本来の相続分に一定の加算をして相続人間の実質的公平を図る制度をいいます。
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(e)相続分の譲渡
相続分の譲渡とは、各共同相続人が、遺産分割前に自己の相続分を他人に譲り渡すことを言います。自己の相続分を早急に換価したい場合にこの相続分の譲渡が行われます。
相続分の譲渡は、相続人の地位の移転であるため、譲受人は遺産分割の請求を行うことができますが、相続債務に関しては、相続債権者を保護する必要性から、譲渡人、譲受人双方が弁済の責任を負います。
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(3)相続財産の範囲
被相続人が死亡し相続が開始されると、被相続人の有していた一切の権利、義務は相続人に包括的に承継されます(民法896条本文)。ただし、被相続人の有していた一身専属権(履行期の到来していない扶養請求権、離婚請求権など、その人固有の権利)は相続されません(民法896条ただし書)。では、具体的にどのような権利、義務が承継されるのでしょうか。
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