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交通事故に関する手続業務

当事務所は、交通事故の当事者(加害者または被害者)の依頼に基づいて、
交通事故にかかわる調査保険金請求の手続を行います。
また、被害者に代わり、損害賠償額算出に供する基礎資料の作成、損害賠償金の請求までの手続等を行います。
そして、加害者、被害者双方間で示談が成立している場合は「示談書」を代理作成します。以下、具体的に説明します。
   

1.交通事故の被害者は誰に請求ができるか

  • (1)民法の一般原則では、加害者の故意または過失により被害者が損害を被った場合、被害者は加害者に不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます(民法709条以下)。さらに加害者に使用者や監督者がいた場合
    は、使用者、監督者に損害賠償請求ができます(民法714条、715条)。
  • (2)そして、自動車を運行の用に供する人は自賠責保険または責任共済に加入しなければならず(自動車損害賠償保障法5条)、交通事故の被害者は民法とは別に自動車損害賠償補償法に基づき、加害者の加入している自賠
    責保険から損害賠償を受けることができます。
    表1 自賠責保険の被害者一人に対する支払限度額
    死亡事故
    @ 死亡による損害
    3,000万円
    A 死亡に至るまでの傷害による損害
    120万円
    傷害事故
    B 傷害による損害
    120万円
    C 後遺障害による損害
    ・介護を要する後遺障害

    ・介護を要しない後遺障害
    4,000万円(第1級)〜3,000万円(第2級)

    3,000万円(第1級)〜75万円(第14級)
  • (3)交通事故の被害者は、加害者に損害賠償を請求するのが原則です。しかし、加害者全てが賠償金を交通事故のために、予め備えてあるとは限りません。そこで交通事故の被害者は加害者の加入している自賠責保険会社に直接損害賠償請求ができます(自動車損害賠償補償法16条)。また、加害者が被害者に損害を賠償した場合、加害者は保険会社に自己が払った
    限度において保険金の請求ができます(同条15条)。

2.交通事故の被害者はどのような請求ができるか
 (損害賠償の範囲)

交通事故の損害は「障害部分の損害」と「後遺障害部分の損害」に分けられます(この他、積極損害、消極損害、慰謝料という分類もある)。
  • (1)障害部分の損害
    交通事故の被害者は、事故が発生した直後から直ちに治癒を必要とするのが通例であり、通院、場合によっては入院が必要となります。そして、治癒を続けた結果、症状が完治すれば治癒は終了となりますが、不幸にも現代医学では症状の完治が見込めず、または、症状が一時的に治っても再び症状が出てくるような場合があります。このような場合には治癒を終了(症状固定)して、後は後遺障害
    としての手続きに入ります。
    症状固定
    そして、実務では、症状固定前の損害部分を「障害部分の損害」として手続を行い、症状固定後の損害部分を「後遺障害部分の損害」
    として手続を行います。
    では、具体的に障害部分の損害にはどのようなものがあるのでしょ
    うか。
    まず、病院の治癒費、通院ならば病院までの交通費、介護が必要なら介護費、休業損害、慰謝料等があります。休業損害は、原則として有職者(家庭の主婦やパートを含む)に認められる損害ですが、一定の要件を満たせば学生にも認められます。また、無職の人でも就職先が内定している場合に休業損害を認めた判例(H17.10.12大阪地判)、転職準備中の被害者の休業損害を認めた判例(H19.9.18東京地判)、労働意欲のあるホームレスの休業損害を認めた判例(H14.6.7名古屋地
    判)、職業不明の被害者の休業損害を認めた判例(H11.1.26岡山地判)等があります。
  • (2)後遺障害部分の損害
    • a.後遺障害を英語では「permanent disease」と言います。「Permanent」とは、「永続する、永久的は」という意味です。「disease」とは、「病気、不健全」という意味です。 後遺障害の決断をすることは、被害者本人やご家族にとっては、正に断腸の思いでしょう。しかし、無情ですが事故後6ヶ月が経過して改善の見込みがなければ「症状固定」とみなされ、自賠責保険に後遺障害等級の申請をすることになります。 後遺障害の等級は1級から14級に分かれており、140種類もの障害がさらに分類されています。この等級は自賠責法で定められていますが、労災保険の障害認定基準を、ほとんどそのまま流用しています。労災の後遺障害等級表はもともと整形外科の発想で作られました。 したがって、形で見える障害、例えば顔の傷などに対しては上手く出来ている表ですが、精神障害などの後遺障害にはよく出来た表とはいえません。したがって、後遺障害の認定には、障害の遺漏がないように努めなければなりません。 具体的には医師の診断書、レントゲン写真、CT、MRIなどの証拠は是非とも必要になりますので、担当医師には遠慮せずに自分の体の何処が痛むのか、心的障害の有無はどうかなど、しっかりと伝え証拠を保全してください。 後遺障害の等級認定は、最終的には損害保険料率算出機という第三者機関が、医師の後遺障害診断書等に基づいて認定します。 認定の結果、得られた等級に応じて自賠責保険から「後遺障害保険金」が支払われます。この「後遺障害保険金」は前述の障害部分の損害に対して支払われる「障害保険金」とは別です。
    • b.では、後遺障害部分の自賠責保険金額はどのように計算するのでしょうか。答えは「逸失利益」と「慰謝料」の合計額となります。
      ただし、自賠責保険では、等級ごとに保険金の上限が決まっています。
      表2 後遺障害等級別支払限度額(介護不要の場合)
      第1級 3,000万円 第8級 819万円
      第2級 2,590万円 第9級 616万円
      第3級 2,219万円 第10級 461万円
      第4級 1,889万円 第11級 331万円
      第5級 1,574万円 第12級 224万円
      第6級 1,296万円 第13級 139万円
      第7級 1,051万円 第14級 75万円
      表3 重度後遺障害支払限度額(介護必要の場合)
      神経系統、精神、胸腹部臓器に著しい傷害を残して介護が必要な場合
      常時介護を要する場合
      4,000万円
      随時介護を要する場合
      3,000万円
      注意が必要なのは、障害部分の損害に含まれる「慰謝料」と後遺障害部分に含まれる「慰謝料」は区別されるということです。
      したがって、慰謝料は、障害部分の慰謝料と後遺障害部分の慰
      謝料の2つがあることになります。
    • c.逸失利益の計算
      逸失利益とは、後遺症により労働力が低下し、収入が減少するた
      めに失われる利益をいい、以下のように計算します。
      • あ)収入額は、@死亡の一年前の実収入A年齢別平均給与額B全年齢平均給与額(男子41万5,400円、女子27万5,100円)
        を基準に決定します。
        • @.有職者(1年未満の中途退職者を含む)で収入を証明できる人は、事故前1年間の収入と死亡時の年間別平均給与額を比べ、高い額で計算(35歳未満の場合は事故前の1年間の収入と死亡時の全年齢平均給与額または年齢別
          平均給与額を比べ、高い額で計算)します。
        • A.幼児、児童、学生、家事従事者は全年齢平均給与額で計算します(58歳以上の人は、年齢別平均給与額と全年齢
          平均給与額を比べ高いほうの額で計算されます)。
        • B.@、A以外の人で働く能力と意思のある場合は年齢別平均給与額で計算しますが、全年齢平均給与額が上限で
          す。
      • い)労働能力喪失率とは、後遺障害による労働能力の低下にともない、1級から14級までの等級別に定められています。1級、2級、3級は100%、4級は92%、14級は5%となっています。
      • う)ライプニッツ係数とは、将来の収入を加害者に前払いさせるため、途中で発生する利息分(年5%)を差し引くための係数をい
        います。
    • d.慰謝料の計算
      自賠責保険では、後遺障害の慰謝料は等級に応じて額が決まっ
      ています。
      表4 後遺障害等級別慰謝料
      第1級 1,100万円
      第2級 958万円
      第3級 829万円
      第4級 712万円
      第5級 599万円
      第6級 498万円
      第7級 409万円
      第8級 324万円
      第9級 245万円
      第10級 187万円
      第11級 135万円
      第12級 93万円
      第13級 57万円
      第14級 32万円
      • ※扶養者がいる場合
        第1級1,300万円 第2級1,128万円 第3級973万円
      • ※後遺障害慰謝料は支払限度額あり(表2、表3)

3.損保会社との交渉

  • (1)交通事故の被害者や被害者のご家族にとっては、事故さえなければ幸せな日々を送っていたはずだと思います。「加害者が憎い、元の体に戻してほしい」と憤るのがむしろ素直な気持ちだと思います。しかし、現代の医学ではどうすることもできない場合など、被害者やご家族にとっては苦渋の決断を選択せざるを得ないことも残念ながらあります。このような場合、民法によれば、不法行為における損害賠償は別段の意思表示がなければ金銭賠償となっております(民法722条、417条)。事故前の状態に戻ることが不可能ならば、せめて金銭賠償はそれ相当の賠償をさせることが公平であるといえます。体も元に戻らず、生活も一変してしまった、それにもかかわらず、賠償金額はかなり低いとなると、被害者やご家族が泣きをみることとなり、社会正義の実現には程遠い社会となってしまうでしょう。したがって、損害賠償金額の交渉等は慎重に行ってください。医師の診断書、レントゲン、CT、MRIなどは、後の裁判においても必要ですが、加害者や損保会社との示談交渉、また、後遺障害の等級認定にも
    欠かすことが出来ないので、必ず保全してください。
  • (2)損保会社といえども、決して慈善団体ではありません。営利企業です。支出を可能な限り抑えないと、企業は利潤をげられません。したがって、損保会社は、保険金の支払は抑えて提示してくるのが通例でしょう。しかし、彼らの提示額は、会社内の規定であって、裁判判例よりかなり低く抑えられています。また、加害者が無制限の保険に加入していたとしても、損保会社が気前よく、無制限に保険金を支払ってはくれません。そこで、損保会社との交渉は割り切りが必要です。損保会社から示談の提示があったとしても、直ぐにはんこを押さないでください。提示額の根拠、損害の取りこぼしが無いか必
    ずチェックが必要です。
  • (3)事前認定
    自動車の所有者は自賠責保険の加入が義務付けられていますが、自賠責保険は限度額があります。そこで自動車の所有者は任意保険に加入し、自賠責保険の不足額を補填するなどの措置を講じる場合が多々あります。この任意保険は、自賠責保険の上乗せ部分ですが、通常、損保会社は、自賠責保険も含めて、一括払いを行っています。この一括払いは被害者と損保会社が示談交渉を経て行いますので、損保会社としてはどうしても、後遺障害が残るのか、残ったとして何級に該当するのかどうしても把握する必要があります。そこで、損保会社は示談交渉に先立って、専門の調査事務所に後遺障害何級に該当するのか調査依頼を行って、事前に認定を行いま
    す。これらの手続きを事前認定手続きといいます。
  • (4)異議申立
    事前認定の結果判定後に任意保険会社は認定理由を説明しますが、認定結果に不満があれば、被害者は任意保険会社に異議申立
    を行い、等級認定につき再調査を受けることが出来ます。
  • (5)直接請求
    被害者が、最初から事前認定を望まない場合や、等級認定、異議申立後の等級認定に納得がいかない場合は、自賠責保険会社に直
    接請求することができます。
    そして、一旦、自賠責保険金を受け取ったうえで任意保険会社と再
    交渉することになります。
    自賠責保険への直接請求
    @ 被害者は、損害調査に必要な資料を自賠責保険会社へ提出します
    A 自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構へ調査依頼します
    B 損害保険料率算出機構は、調査結果を自賠責保険会社へ報告します
    C 自賠責保険会社は、調査結果に基づき支払額を決定し、
    被害者に保険金を支払います

4.示談

  • (1)示談か裁判かの選択
    被害者にとって、裁判所で決着をつけるべきか、素早く示談でまとめるか悩むところだと思います。基本的には、高額な損害賠償金の場合は裁判所での決着が望ましいと思われます。なぜなら、高額ということは、被害者状況が複雑ですし、また、損保会社も高額になると石橋を叩いてきます。ならば民事裁判の口頭弁論において、適切な証拠に基づいて立証したほうが妥当に思います。
    しかし、裁判のデメリットとして、時間や費用が掛かるということ、原則として公開の法廷で事故の状況を過去に遡って弁論しなければならないことなどがあります。被害者にとっては、公開の法廷で忌々
    しい事故の状況は話したくない方もいると思います。
    また、以下の場合は、裁判よりもむしろ示談のほうが被害者にとっ
    て有利になることがあります。
    • 被害者側の過失が大きい場合
      (裁判で大幅な過失相殺をされる可能性がある)
    • 後遺障害が残ったとしても、被害者が自立できる場合
      (逸失利益の主張が困難)
    • 介護の手間がさほどかからない場合
    • 訴えまでに時間がかかり、時効が差し迫っている場合
    以上のことを踏まえて、裁判か示談かを検討してください。
  • (2)示談書
    示談は契約の一種です。したがって、示談書は必ず作成しなければならないわけではありません。また、示談書の書式も法律で定められているわけではありません。しかし、後において水掛け論になり紛争がこじれるのを防止するためには、示談書の作成は有効な手段といえるでしょう。ちなみに、日常用語の示談と和解は厳密には意味が異なります。日常用語の示談はお互いが譲り合い、または一方が100%譲る場合も含みますが、和解はお互いが譲り合わなけ
    ればなりません。
    次に示談書の作成ですが、少なくとも後の紛争防止のためには以
    下のことは明記すべきです。
    • 事故当事者の住所、氏名、車両所有者の住所、氏名
    • 事故発生の日時、場所
    • 事故車両のナンバー、車種
    • 被害状況
    • 示談内容
    • 示談書作成年月日、当事者の著名捺印
    そして、示談書には後に当事者の予測に反して不測の後遺症が発生した場合に備えて、「将来、不測の後遺症が発生した場合は、加害者側は別途適切な損害賠償を行うものとする」というような内容の一文を入れておくと安心です。ただし、損保会社の作成する示談書には、通常、「今後本件に関し、いかなる事情が発生いたしても、双方異義の申し立てをしないよう連署をし、契約いたします」というような一文が書かれています。これは、被害者に、その余の損害賠償を放棄させるためです。そのため、損保会社と示談を締結するには、慎重に行ってください。ただ、万が一このような被害者の権利放棄の内容文があったとしても、最高裁判所の判例では、「全損害を正確に把握し難い状況のもとで、早急に小額の賠償金の支払で満足する旨の示談がなされた場合は、被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであって、その当時予想できなかった不測の再手術や後遺症がその後発生した場合、その損害についてまで賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない」として、示談後の損害賠償について要件次第ではできるとし
    ています(最判昭和43年3月15日民集22-3-587)。
※争訟性のある案件は、弁護士法72条により禁じられているので、当事務所では承ることができません。
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